ディケンズって最高に面白い

「大いなる遺産」は冒頭でいきなり怪しげなおじさんに脅迫され、約束までさせられるところから始まり、で どうなるの?という思いで一気に読みました。
ハリー・ポッター並に 次を読みたくてたまらない面白さでした。
 大きなお金と云うものは、それを正しい使い方のできる資質の無い人間が手にすると、こういう経過を辿り、得てしてこういう末路になりがちだということですね。
原文の題名は「Great Expectations]で、遺産が転がり込むと言われて大きな期待をしてしまう、本人も周囲も、、そしてどんな人が変わらず誠実さを示すか、、そういう角度から書こうとしたのだと頷けます。
社会的地位も同じで、爵位を得る,などと云う名誉が 思ってもいなかった人に与えられると、子や孫に精神的に客観性を欠けさせ、事実を見誤り、自惚れでめくら状態の人生を送らせることになる。 家族こそいい迷惑。
羊毛他で富を得たブルジョアジーが増え、ジェントルマンの意味や範囲が拡がりつつあった時代、お金さえあれば社会の底辺の人間でも、「ジェントルマン」を仕立てることだってできるという野望を抱ける様になってきた事をほのめかしているそうです。

沢山の登場人物の中で、悪と善の象徴以外に,端役ほど小さい存在でもないが魅力ある人物が何人かいます。
冷たいイメージの銀行員で、実務的で確実に事を運ぶが、誠実で、控えめで信頼に足りる。

弁護士のサブで地味に働いて目立たず、無味乾燥な人に見えるが、職場と自宅を完全に使い分けて、自宅では親孝行で、アイディアに富んだ生活をエンジョイしている。
少なからず主人公の助けになることを、細かい配慮で実行までしてくれる。
こんな人物をよく作り出したものだと感心してしまいます。

ストーリーがどう展開するかだけでなく、ユーモアのある譬えや、デフォルメされた人物描写が面白く、文章中に小さい字で書いてある解説がinterestinngです。
ロンドンからドーバーへの郵便馬車はいつ追剥に遭うかビクビクしていたというくだりを裏付けるように、今のヒースロー空港のあたりは19世紀は追剥と殺人の名所だったとか、、ネズミ取りと言う職業があったとか、爪先を内側に強制する「足矯正器」と云うものがあったとか、ビクトリア朝では「足」という言葉を口にするのもはばかられたとかへえ~と思うことばかり。
「憂鬱を追っ払え」という流行り歌をベースにした曲をモーツァルトが魔笛のどこかに取り入れたとか、、どのメロディでしょうね。
イギリスの夏結構長い期間開催される音楽祭の最後の夜「プロムス」で英国人が誇りをもって歌う「ブリタニアよ 統治せよ」も、仮面劇「アルフレッド」(1740年)からの曲だそうです。

更に二都物語では、1789年7月14日のバスティーユ牢獄に革命軍が建物内にどっと入った時 読者も一緒に入れるんです。
本ってタイムトラベルができるんですよね。
塔には入るには1度地下に下がってから上がっていくらしいです。
(NHKのドラマで 松陰先生が入っていた牢は日差しも入るし空気も通り健康的ですね。)
光も差さないとベッドの藁にうじ虫もわき、そこに何年もいるのは耐え難いこと。
昔パリの古地図を辿る番組があって、ナポレオン3世の幽閉されていた牢獄の映像がありましたけれど、政権をとる という大きな夢、計画でもなければ、こんな陽の差さない所に一人でいたら正常な精神を保てない、、というような感想を言ってましたが、悪名高いバスティーユはどんな風だったのでしょう?
パリの地下鉄バスティーユ駅のプラットフォームにあった かつての牢の土台石を思い出してしまいます。

一貫して真面目に懸命な姿勢を保って生きていくこと、裏表の無い愛情を謳っていると思います。
デビッド・コパフィールドのストロング先生と奥さんの最後の会話や、ハムの最後の決意などは感動しました。
祖母がよく「持って死ねない物の為に人生をロスするな」と云ってた事が思い出されます。
死ぬ時は良い思い出しか持って行けないのですから。


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